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村上春樹の心を揺さぶった「ジ・アナログズ(The Analogues)」の存在
昨年、解散から50年が経過した史上最高の音楽バンドであるビートルズにハマっている。
全アルバムを購入して聴きまくっている。
だが、そんなある日・・・オレはふとYouTubeを見ていた。
ビートルズ楽曲を演奏しているコピー(トリビュート)バンドがたまたま目に入ってね。
初期ビートルズを意識したマッシュルームカットの4人組グループとか。
後期ビートルズを意識して「ジョン役」の人物が長髪でメガネで上下白の服で歌ってるバンドとか。
どちらかと言えば「容貌」を似せているバンドの方が多かった。(演奏もまぁまぁ似てるけど)
コスプレバンドみたいなイメージも受けた。
ただなぜか「ポール役」の人物だけはどこも似てないというか“残念な”感じのグループが多い。
ご丁寧にポール同様に左利きでベースも弾けているんだけど、肝心の声と風貌があまりに似てない。
他の3人はどこもなんとなく似てる感じに仕上がってるんだけどポールだけはどこもモヤッとする。
ポールのベイビーフェイスは童顔が少ないコケージャンで寄せるのは難しいのもわかるけど。
しかし、オランダの「The Analogues」というグループは違っていた。
容貌はほとんど似せていないが、その楽曲の“再現度”がとにかくすごい!
徹底してCD(当時はレコードか)音源の細かい部分まで再現している。
しかも多くのカバーバンドは初期の楽曲しか演奏していない。
後期楽曲は様々なサウンドを入れていてライブ演奏が困難な曲ばかりだからだ。
だがこの「The Analogues」は寧ろその後期の楽曲を主に再現しているのだ!
ビートルズアルバムの最高傑作との評判である『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』
このアルバムの楽曲をビートルズは一度もライブ演奏したことがない。
解散後に随分経過してからポールがライブで披露してはいるが「ビートルズ」としては一度もない。
さらに言えばライブで再現するのは困難な曲ばかりである。
それでもこの「The Analogues」はクラシックの奏者まで集めて実際の楽曲を忠実に再現し、
まさに「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band」になりきって全曲通しのライブを敢行している。
『Norwegian Wood』(ノルウェイの森)の作者で、
ビートルズファン(本人はそこまで熱心なファンではないと言っているが)の村上春樹。
その村上が以下↓の記事でこの「The Analogues」について語っている。
春樹の言う通り、ビートルズファンなら一度見て聴いてみる価値のあるバンドである。
メンバーそれぞれが様々な楽器の演奏ができて、かなり音楽性の高いグループであることがわかる。
さすがに声質まで全く似せるのは難しいが、1人ポールの声質にかなり近いボーカルの男性がいる。
まずは百聞は一見に如かずということで実際に見てもらえればそれがよっくわかるだろう。
『She’s Leaving Home』
『Lovely Rita』
『Fixing a Hole』
『Hello Goodbye』
『Penny Lane』
これでもまだほんの一部だし、このバンドの公式チャンネルにUPされてない曲もまだたくさんある。
ビートルズの曲はほぼ制覇していて、『WHITE ALBUM』を“完全再現”したライブもある。
とにかく細部の演奏やサウンドもあらゆる楽器やクラシック演奏者を用意して忠実に再現している。
さらに各メンバーの歌い方の癖まで徹底して“再現”している(笑)
ビートルズ本人たちがかなり「やっつけ」でやっていたコーラス部分まで手抜きせず再現している。
ここまで再現できるものなのかと感心させられてしまうほどに。
ジ・アナログズ(The Analogues)のメンバーと特徴
まず、このグループもビートルズ同様に全メンバーが最低1曲はメインボーカルを担当している。
それも「ジョン担当」「ポール担当」「ジョージ担当」「リンゴ担当」と決まってるわけでもない。
楽曲によってボーカルをそれぞれ分担しているようだ。
だからジョンがボーカルの曲であってもいろんなメンバーが歌っているのがわかる。
だが主にポールがボーカルの曲を歌っている男性がとにかくポールの歌声にかなり「寄せて」いる!
(上で挙げた動画のうち『She’s Leaving Home』以外の4曲をボーカル担当している男性ね)
この男性の歌唱力が「The Analogues」の最大の魅力かもしれない!
出だしはいつも「あまり似てないな」と思わされるんだけど中盤くらいからどんどん似てくる。
曲の終わりの方はもう「ほぼポールじゃないか!」といつも感動させられている。
特に『Penny Lane』は相当似てると思う。
はっきり言って、ビートルズ解散後のポール本人より彼の方が「ポールに近い」くらいだ(笑)
ポールはボイトレをストイックにやるタイプじゃないようで解散後はどんどん声が衰えてるからね。
思えばこのボーカル男性だけはちょっとどことなくポールっぽい雰囲気まで漂わせている。
ただ、この男性は近年のライブではもう出演していないから脱退したのかもしれない。
逆に違うメンバーが2人ほど入っているから、
ビートルズのようにメンバーが固定しているグループというわけでもない。
あとドラマーの男性もなんとなくリンゴっぽい雰囲気があるかな。
サングラスのせいかもしれないけど(笑)
でもこのジ・アナログズ(The Analogues)は容貌でごまかすんじゃなく「中身」で勝負している。
「マッシュルームカットの4人が歌っているだけ」のコピーバンドとは違う。
とにかく“再現度”にここまでやるかと言うレベルでこだわっている。
あまりに細かい部分まで再現しているから思わず笑ってしまうほどだ(笑)
そもそもこのバンド自体、当時のビートルズ以上の演奏力・表現力がある。
当時のビートルズがこれらの楽曲をライブ演奏したとしても、ここまでの完成度はなかっただろう。
ビートルズは作曲の才能は圧倒的な天才だったけど、決して演奏が上手いバンドではなかったから。
メンバーのほとんどが複数の楽器を演奏できる。
ビートルズもジョンとポールはいろんな楽器を演奏できたが、
ジ・アナログズ(The Analogues)のメンバーの“多芸”ぶりもすごい。
特に上の動画の中で『She’s Leaving Home』のボーカルを担当していた男性はとにかく多才!
なんでもこなしてしまう器用さがある。
彼がこのバンドのリーダーというか「看板」みたいね。
『She’s Leaving Home』はこの曲の為だけに招聘したハープ奏者の女性も素晴らしすぎたけど。
リードギターを担当している男性(Jac Bico)の演奏も素晴らしい。
彼はリードボーカルを担当するのは稀で、ほぼ一貫して「ギター専門」だ。
エレキとアコギどちらも完コピどころか、「本家」を上回るほどのサウンド。
上の動画なら『Fixing a Hole』などは彼のギターサウンドが際立って印象的。
そしてこのJac Bicoがリードボーカルを担当した数少ない曲の1つが『Within You Without You』
“インドかぶれ”全開状態だったジョージによるインド楽器総動員のめっちゃ厄介な一曲。
しかし、ジ・アナログズ(The Analogues)は絶対に手抜きをしない。
この曲の為だけにわざわざおそらくインドからインド楽器の演奏者を招聘してしまった!
そして、この楽曲内でJac Bicoは
ジョージ同様にインド楽器のギターに相当するシタールを担当しながらボーカルもこなしたのだ!
実際、シタールの演奏部分はボーカルがないから歌いながら演奏することもないが、
それでもわざわざこの一曲の為だけにシタールの演奏まで習得するハメになり苦労がしのばれる。
おそらくジョージのことをさぞ恨んだんじゃないだろうか(笑)
この曲1曲のためだけにとんでもない負担をしょいこんでしまったわけだから。
まぁジョージも割と短期間で習得していたみたいだし、ギターの素養があれば習得も早いのかもね。
どちらにしてもこのJac Bicoの演奏力もジ・アナログズ(The Analogues)の大きな魅力。
しかも彼はギター系楽器専門家と思いきや、続く『When I’m Sixty-Four』でドラムまで担当した!
いつも気難しそうな表情でギターを弾いているが、地味に彼も多才。
そんなこんなで、ある意味このバンドは「ビートルズ以上」に仕上がっている。
彼らのライブは文字通り「ビートルズのライブ」に行くような感覚を味わえるんだろうなと思う。
それだけでなく当時でもライブで聴けなかった曲を演奏してくれるんだからすごいよね。
あの『A Day in the Life』までステージ上で再現してしまったんだから。
『White Album』の全曲通しライブもやっている!
ジ・アナログズ(The Analogues)は『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』だけでなく、
『White Album』の全曲通しライブまで“完全再現”している!
これは公式ではYouTubeにはUPされてないけど、
DVDが安く手に入ったから見たけどこっちの“再現度”はもっとすごい!
と、いうかそのこだわり具合がすごい(笑)
めっちゃ細かい部分まで忠実に再現してんの!
例えば、「Glass Onion」の3回目のAメロでリコーダーの音が入るでしょ?
あれをわざわざそれだけのためにステージ脇から2人出て来て
「ピョピョピョピョー」って吹いてそれだけやったら帰っていくの(笑)
「Ob-La-Di, Ob-La-Da」でも3回目のAメロでピアノメロディが二重になる部分あるでしょ?
あの部分は1人じゃ弾けないから(弾ける人もいるけど)、
やっぱりわざわざそのためだけにステージ脇からゆかいな太っちょ君がのそのそ出てきて、
ニコニコしながら同じピアノでその部分だけ弾いて帰っていくの(笑)
彼って表のメインメンバーではないみたいだけど、どのライブにもバック演奏で参加してて、
ピアノ以外にもトランペットとか担当して地味に目立ってるし(笑)
あとは「Piggies」ではサビの部分でジョンの声が籠ったような部分があるけど、
そこまでご丁寧に再現してその部分だけ違うマイクで歌って声を籠らせたりしてる。
そこまで徹底するのかと(笑)
さすがに「Revolution 9」だけは“再現不可能”ということで特別映像と共に音声を流して、
その間を「休憩時間」にしていたようね(笑)
1枚目のラスト「Julia」と2枚目の1曲目「Birthday」の間もちょっと休憩あったみたいだけど。
ただこのライブでは例のポールっぽい男性が脱退したのかもういないんだよね。
だからボーカルに関してはちょっと魅力が薄れている。
ボーカルに関しては彼が一番だったし、一番似ていたからね。
代りに2人新しいメンバーが入ってどっちもボーカル担当してるけど“似てない”んだよね。
1人は『Glass Onion』などのメインボーカルを担当してるけど単純に歌唱力不足で、
もう1人はボーカル特化みたいな若い男性で『Birthday』のメインボーカルを担当して、
こっちは歌唱力もあって上手いんだけど・・・なんか自己流みたいにアレンジ加えて歌ってるし。
やはりあのポールっぽい男性が抜けた穴は大きすぎるね。
「Ob-La-Di, Ob-La-Da」はあの男性に歌ってほしかった。
彼は「Hey Jude」も“ポールらしさ”を保ちながら完璧に歌い切ってみせたからね。
彼の名はJan van der Meij(ジャン・バン・デル・メイ)というオランダ人ミュージシャン。
元々ソロでやっててジ・アナログズ(The Analogues)に加入した流れみたいだけど。
オランダの玉置浩二みたいな感じかな?
ちょっと違うか(笑)
いろいろ考えてみたけど、日本だと彼っぽいミュージシャンいないなぁ。
でも調べてみたけど脱退した記述がないんだよね。
更新されてないだけかもしれないけど。
しかしながら現実問題として『Sgt.』に匹敵するほど重要な『White Album』ライブに
彼はいなかったのは歴然とした事実である...。
世界中で絶賛されているThe Analogues
YouTubeのコメント欄もほぼすべて英語の書き込みだが絶賛している内容ばかりなのがわかる。
英語圏のビートルズファンが聴いても納得のレベルということだ。
「ワールドツアー」を求めている声まであるほどだ(笑)
そうなったら日本ツアーにも来てほしいよね。
そん時ゃまた武道館公演かな(笑)
蓋を開けたら「ずうとるび」だったとかカンベンな(笑)