「あなたの会社が90日で儲かる」(神田昌典)という本をある人に勧められて読んでみた。
普通に図書館に置いてあったし。
タイトルから会社経営の本なのかと思ったけど、本質的にはセールスの聖書みたいな内容だった。
ほとんどの内容が、未だにセールスマーケティングの世界で出回っている考え方だから。
価格を下げるのではなくお客が感じる「価値」を高めて利益を得る
価格を下げれば値下げ競争の消耗戦まっしぐら。
価値を高めて高い価格で売れば利益は丸儲け。
どっちが良いかなんて言うまでもない。
ポイントは「特典」の活用だ。
特典は効果的で、TVの通販でも必ずと言っていいほど一緒に何かをつけて売るやり方をして安易に価格を下げない。
本書ではネクタイ3本買えばもう1本無料という特典戦略で、客には「25%off」と言わず「1本無料」と伝える点にポイントがある。
営業マンは“しゃべらない”ことが大事
オレも営業職だったし、一番キツい新規開拓訪問セールスまでやらされてたからこれはよくわかる。
契約獲れる人ってしゃべらないんだよね。
一番成績すごかった人なんて出だしだけちょっと話したら突然黙って話をやめちゃうの!
だから相手は急にその先が知りたくなって「で?」と向こうから求めてくる。
オレなんてそれがわかんねーから、徹底的に喋りまくってべしゃり暮らしみたいな攻め方してて全然相手にされなかった。
とにかくメリットばかり伝えて伝えて伝えまくって相手の心を動かそうとばかりしていた。
今だったら絶対そんなことしないけどまだ20代だったからさ...。
営業に限らず、人間って喋りすぎるとロクなことはないよね。
「口は災いの元」ってすごく真理を突いている。
有名人がテレビやネットで何か意見を主張すればすぐ叩かれたりアンチが増えたりするのも同じ。
喋らない人が賢い人なんだと今ならわかる。
喋らないことが大事。
それが一番大事。
希少性のルール
例え在庫が有り余って困っていても、「あまりにも売れすぎて在庫がもうなくて...」というポーズをとることが大事。
それが大事。
人間は「手に入りにくいもの」をなぜかほしくなる生き物だから。
ダイヤモンドだって原石がなかなか採れないからあれだけ高価で「Diamonds Are Forever」だとか言われてる。
でも、原石が簡単にゴロゴロ見つかるようになったら一気に値崩れしてジルコニアみてーになっちまうだろうよ。
シャーリーバッシーもガッカリだろうね。
だから、「もう在庫が残ってない(なくなる寸前)」というポーズをとるのは大事なわけ。
本書では触れられてないけど、そういうポーズをとることで「他にも多くの人が求めている良いものなんだ」という「社会的証明」の役割も果たしてより効果的になるわけだ。
コンサルタントなら、例え依頼がなくて暇でも「依頼が多いので時間が取れまへんなぁ」というポーズを取れば、相手は倍の金を積んででも依頼してくるかもしれないぜ?
好きだ。
商品を売る前に安心や信頼感(親近感)を売る必要がある
メリット(ベネフィット)を伝える前に、まず安心感や信頼感を構築しなければならない。
人間は知らない人が言う超有益な情報より、親しい人が言う悪質な情報を信じてしまう生き物だ。
相手と信頼関係が構築できてねーのに、100年ベネフィットを叫んだところで相手の心にゃ響かない。
まずは相手に自分という人間を認知してもらい、信用されて安心してもらわなければならない。
ネット上で情報詐欺みたいなことやってる人たちって、この手法を悪用しているよね。
まさに“悪用厳禁”
人間の行動原理は究極的に突き詰めれば2つ
人間の行動原理なんて突き詰めれば以下↓の2つまで絞られる
・快楽を求める
・苦痛から逃れる
そして、後者の「苦痛から逃れる」方がより強い行動(購入)動機になりやすい。
苦痛は「不安」でもある。
「不安」だから今年はみんながマスクをダイアモンドのように追い求めた。
「Masks Are Forever」状態だったね。
今なら夏用涼感マスクがまさにそれ。
共通の敵(仮想敵)を設定することで消費者の感情を動かすことができる
消費者感情を理解して、消費者が何に対して怒りを抱いているか知ることが先決。
知ったら、それを自分たちも「敵」だと思っていると示して共感を得ること
そして、自分たちは「あなたの味方」というスタンスで商品を紹介すれば相手は一気に食いつく。
ポイントはやっぱり「共感」。
「共感力」は営業だけでなく人間関係全般で有効な最強の“人間スキル”と言える。
あなたが売りたい商品を買いたい層は何に対して怒っているのかを知れば、売るのはもう簡単だ。
客は「商品」そのものを買うのではなく、購入後の「自分自身の変化」を想像して購入する
この概念を理解できてないと、「ただメリットを言うだけ」の売れないビジネスパーソンになってしまう。
購入した後の自分自身の変化を想像させなければ客の心は揺さぶれない。
効果的なのは質問を投げかけること。
車を購入に来た客に車の性能ばかり語っても売れない。
「どこに行きたいですか?」、「誰を乗せたいですか?」と質問して、相手に“購入後の自分”を想像させることが大事。
想像してしまうと、一気にその商品がほしくてたまらなくなる。
商品を販売する広告よりも、その商品に興味がある人を集める広告の方が、圧倒的に簡単。
どこも広告を出す時は、商品をPRすることしか考えないものだけど、本当に効率的なセールスはその商品を欲しがる属性を見極めて、その人たちを集める広告を打った方が圧倒的に売れる。
その商品を欲しがっている人であれば、どんなに下手くそなセールスライティングであっても、どんなに長文であっても、最後の細部までしっかり目を通してくれるから広告効果が極めて高い。
一度に全ての情報を伝えるのではなく、断続的に蓄積させて情報が脳内に増えれば増えるほど具体的にその商品への購入意欲も高まる。
興味はあるけど今は買わないという「そのうち客」を多くの業態は無視してしまい、すぐにでも商品をほしがる「今すぐ客」にしかセールスをかけない。
しかし、「そのうち客」にも継続的に情報を与えていくことで、徐々に知識が蓄積されていき、その比重が大きくなると今度は「今すぐ客」に“昇格”するのである。
しつこい売込みやDMはダメだけど、ある程度継続的に情報を送ることで「そのうち客」も取りこぼさず、長期的展望でより大きな売り上げを上げることができるようになる。
高額商品を売りたいなら、「段階」を踏む
高額商品はなかなか一発で決められない客も多い。
そんな場合はまず無料で何かサービスしてしまえば良い。
そこで信頼関係構築と、無料で先に与えたことによる「返報性の法則」も働く。
その次にいきなり高額商品売り込みに行くのはまだ早い。
ここでもまたステップを挟み、今度は気軽に手を出せる低額の商品を売るのである。
その低額商品を買ってしまった客は、もう高額商品のオファーも断れなくなっている。
エアコンを売りたいなら、まず2,000円程度の扇風機を売ることだ。
安くて良いものを売ることで、信頼残高が高まる。
しかし、扇風機だけで完全に涼しくなるのは難しいからエアコンを買うという流れ。