就職氷河期世代(ロストジェネレーション)へ支援策の問題点

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就職氷河期世代の中心層となる35~44歳に非正規雇用者は371万人もいる

「ワーキングプア」とも呼べるこの層を支援すると政府は言及している

正規雇用を3年で30万人増やすことを目標にするという

しかしその「30万人」が実現できるのかどうか?

仮にできても30代だけでは40代以降は報われない

実際正社員としての雇用は30代までならまだ可能性はある

だが40に足を踏み入れた途端一気に厳しくなるのが現状である

一括りに「ロスジェネ」と言ってもその上の世代と下の世代では実情が全然違う

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就職氷河期世代(ロスジェネ)内の世代間格差について

氷河期世代内でも「格差」というものはある

それは単純に年齢差だけの問題じゃあない

35才~44才というくくりでも1974年生まれと1983年生まれでは大きな違いがある

70年代生まれのロスジェネと80年代生まれのロスジェネでは大学進学率も大きく違う

現在44才の1974年生まれの大学進学率(1993年)は28.0%

それに対して現在35才の1983年生まれの大学進学率(2002年)は40.5%

12.5%も開きがあり実数にするとかなりの違いになるはずだ

大学進学率は1972年から1993年までの20年間もの間20%台を上下しているだけだった

しかもこの期間毎年上がり続けていたわけでもなく下がった期間も多い

1980年代は不良・ツッパリ全盛時代で学校自体が荒れていた

その影響もあったのか80年代は70年代よりも大学進学率が低く寧ろ退化している

しかし1990年からは一気に大学進学率が伸び始めるようになる

1972年から1993年までの20年余りは大学進学率は20%台の枠から出ることはなかった

しかしそこから25年間では一気に30%ほど爆発的に伸びた

2018年の大学進学率は57.9%

首都圏に限定すればもう80%にも達する水準になっている

だから同じ就職氷河期世代でも一番上の世代と一番下の世代では大きな格差がある

そもそも人口ボリュームも団塊ジュニア世代の1974年生まれは傑出している

世代人口が多ければ尚更雇用のパイの「人生を賭けたイス取りゲーム」は苛烈になる

しかも上の世代の雇用確保のために新卒採用を極限まで絞られた

その結果として多くの若者が切り捨てられワープア層に落ち込んだのである

そして今では年齢も高くなりそれでいて学歴面でも下の世代に比べて不利である

大学進学率も20%台だったということは最終学歴が高卒というケースも多い

大卒と高卒でも大きな「差別」があるのは事実である

つまりもっとも支援強化が必要な世代は氷河期世代の上の世代だということだ

30代の氷河期世代より40代の氷河期世代の方が何倍も苦しい状況である

政府は一括りに「氷河期世代支援」を謳っているがここまで現状を見ているだろうか?

誰もやりたがらない仕事を振るだけでは問題は解決しない

そして政府が雇用を推進するのも「人手不足の業界」とのことだ

誰もやりたがらない「3K」労働に無理やり「数合わせ」で押し込む意図が透けて見える

特に現政権は建設業界に手厚く支援していることで無駄な公共事業が山ほどある

当然中には誰もやりたがらないような過酷な肉体労働に接する可能性がある仕事もある

若いならともかく35歳過ぎた氷河期世代であり年齢的にもしんどいだろう

仕事がないからって誰もやりたがらない仕事を押し付けて解決する問題ではない

特に女性の場合は拒絶されるケースが多いはずだ

年齢面でも氷河期世代の雇用は簡単じゃあない

同僚はもちろん上司でさえずっと年下・・・な職場でいきなり働けと言われたら?

誰だって心理的抵抗感は相当なものだろう

政治家は実際に働いた経験がない人の方が圧倒的に多いからそこまで配慮できない

「仕事さえあればなんでも良い」とでも思っているんだろうか?

「仕事がないくせに甘えるな」という声もあるだろう

だからってどんな仕事でも文句言わずやるなんて意識の高い人間がワープアにいるか?

それだけの人物ならとっくに仕事は見つけて働いているだろう

それができないワープア層が多いから困っているわけだ

引きこもり状態の人を労働の現場に引き出すことの難しさ

氷河期世代の就職難民の中にも仕事を探している人と仕事を探す気すらない人がいる

後者は言うまでもなく今あちこちで語られている「引きこもり」状態にある

まして引きこもり状態にある人の支援となるとさらに困難を極める

働きたくても働けず引きこもっているならまだ良い

問題は働く気力も失いネットやゲームやアニメに没頭して完全に堕落した人だ

このような人は極端な例を出せば定時で帰れて負担の少ない内勤業務でも嫌がるだろう

もう「働くこと」自体が嫌になっていて気力も向上心も喪失してしまっている

そうなっている人に無理やり尻を叩いて働きに出したって続くわけがない

しかも性格面でも社会活動が困難になっている状況も多い

親と会話もしないとか親から少しでも何か言われたら激昂して暴れ出す状況もある

世の中を憎んでいたり人間嫌いになっていたりプライドが極端に高かったりする

そんな状況で人の下に入って働くということは極めて困難だ

その性格面から立ち直らせなければならないがそれがどれだけ大変な事か・・・

残念ながらそこまではとても手が回らないだろう

かといって氷河期世代の引きこもりをそのまま放置すれば・・・

後々国にとってはこの世代を生活保護で支えるという負担になりかねない

それ以外にも川崎の事件のように社会に刃を向けるという事態もまた生みかねない

小学校の防犯体制強化にも限度がある

全ての小学校の警備員を何人も配置させることも現実的ではないだろう

その警備員を氷河期世代に当てるという考えもあるかもしれないが

そこまでいかなくても追い詰められれば自殺か餓死の二者択一になる

報道されないだけで既にそうなった事例は全国に山ほどあるのだ

自業自得かもしれないし食べられなくなり困窮するのはこの国の問題だけではない

かといって見殺しにして切り捨てるのもどうかという問題だ

政府がロスジェネ支援を口にしたのも川崎の事件がきっかけの1つでもあるだろう

引きこもりを放置することが問題であるというのは社会的に大きな関心だ

「働きたくても仕事がない」層だけを支援するのはまだ容易いかもしれない

だが「どうせ仕事もないしもう働きたくもない」層をどうするかも重要だ

口先だけロストジェネレーションを支援すると言っても問題は山積している

今最も支援を必要としているのは1970年代生まれの就職氷河期世代

今40代の就職氷河期世代だということをまず直視することだ

社会構造の犠牲を最も受けた世代だ

40歳になったとたん正社員としての就職は一気に厳しくなる

39歳と40歳・・・たった1つしか違わないけど扱いも印象も極端に変わってしまう

それどころか40歳になればもう派遣やアルバイトすら採用されなくなってしまう

男性の場合は30歳になった途端に事務系の派遣は厳しくなる実情もあるほどだ

男性の高齢ワープア層は結局誰もやりたがらない余程人手不足な仕事しか残らない

工事現場や建築現場の過酷な肉体労働

深夜工事のガードマン

深夜のコンビニ店員

キツいだけでなく日中の仕事すらなかなかありつけなくなってしまう

支援を最も強化するならまず40代の氷河期世代を最優先すべきだろう

しかも就職氷河期世代といえば厳密には1971年生まれからを指すはずだ

しかし政府が支援を指定した層は44才までに留まる

ということは1971年~1973年生まれの世代はもう支援すらないということか?

確かに正社員雇用の「45歳の壁」というものがある

40歳になると正社員雇用は厳しくなると上述したがまだ見込みが全くないわけでもない

だがこれが45歳になると余程の人物でもない限りほぼ絶望的なのが実情らしい

10年前くらいはこれは「40歳の壁」だったはずだが5歳「寿命」が伸びたようで

平均寿命が伸び「若者」の定義がどんどん高年齢化する一方の世の中だ

昭和の時代じゃ30歳を過ぎれば若者扱いなんてされず「中年」扱いされていた

それどころか25歳すぎれば「おじさん」という時代が長かった

それが今では35歳まで若者とかさらには30代いっぱいは若者のような風潮である

そういうった社会構造・認識の変化もあって5歳伸びたんだろう

だが45歳になるともう正社員で雇用するのは余程の人物でなければ絶望的だそうだ

それどころか大企業でも45歳を過ぎた社員はリストラする動きも出ている

この「45歳問題」を政府も意識して支援は44才までとしたのかもしれない

だが年齢で雇用を差別するのも問題ではないだろうか

そして45歳を過ぎた団塊ジュニア世代を見殺しにするのも大問題だ

上述したが団塊ジュニア世代は人口ボリュームが突出して大きい

この世代の就職難民を放置することは後々国にとって大きな問題を招くだろう

寧ろ既にそうなっている・・・と認識するべきだ

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