苦しい試合だったことは試合後に勝ったにもかかわらず涙を流していた選手がいたことが物語る
佐々木朗希投手は前日に190球以上投げていてこの試合は登板できなかった
延長戦に突入しても大船渡高校の國保陽平監督は佐々木朗希投手を投げさせはしなかった
おそらくこの試合は佐々木朗希投手を一切使う気はなかったんだろう
たとえそれで負けてしまうとしても・・・
國保陽平監督は甲子園出場より選手の将来を大切にしたいという考えを持った人だ
この試合は佐々木朗希投手だけでなく3番打者の今野聡太選手も怪我で欠場していた
「飛車角落ち」に近い状況だった
それでも試合は相手に主導権は渡さなかった
先制し追加点・・・そこまでは順調でもあった
しかし2点差に追い上げられ7回には懸念されていた守備のミスから同点に追いつかれる
打線もなかなか点が取れず10回裏はサヨナラ負けの危機まで陥った
大船渡打線が弱いのかそれとも相手の久慈高校の2年生左腕・丹治将汰投手が良かったのか・・・
久慈高校の丹治投手は2年生ながら落ちる球を効果的に使っていた好投手だった
制球力も良かったし来年球威が増したら県内屈指の投手に成長しているんじゃないだろうか?
そう考えると大船渡打線が打ち崩せなかったのも無理はないのかもしれない
丹治将汰投手は11回を投げぬいて150球以上の熱投だった
一方で大船渡打線は飛車角落ちだったわけだから
久慈高の選手達の敗戦後の涙にはグッときた
大船渡をかなり苦しめたのは事実だ
近年では公立ながら強くなり甲子園まであと一歩というところまできていて今大会も第2シードだ
大船渡高校同様に過去に一度甲子園出場経験もある(1979年)
甲子園出場の思いの強さでは久慈高校だって同じだろう
大船渡が1984年春の選抜高校野球で4強だったのに対して久慈高校の1979年大会は初戦敗退だった
岩手県に限ったことではないが私立と公立の「格差」が拡大する一方の昨今である
公立校の奮起は高校野球の楽しさを増してくれる
この大船渡高校もそうだし久慈高校も丹治将汰投手らが伸びれば甲子園も夢じゃあないだろう
顔もイケメンだしスターっぽい雰囲気があった
岩手県の近年の傾向として内陸の高校ばかりが強いこともあるが大船渡も久慈もどちらも沿岸部だ
交通の便も悪く人口流出も続いていた上に震災もありいろいろ共通点の多い2校の戦いだった
勝った方にも負けた方にもドラマがある
だから高校野球って楽しいんだと思う
この試合はそんな思いを強くさせてくれる試合だった
それほど緊迫した試合だったということだ
どちらが勝ってもおかしくなかった
どちらも素晴らしかった
これで岩手県のベスト4が出そろった
大船渡は24日に一関工業高校との対戦だ
優勝候補の盛岡大付属高校を破った一関工業高校は同じく前評判が高い盛岡第三高校も撃破した
勢いに乗る相手であり厳しい相手だろう
当然佐々木朗希投手が投げることになる
だが次の決勝戦も連戦になることを考えて球数は決勝戦を見据えて投げなければいけないだろう
今日の試合は控え投手の大和田健人投手と和田吟太投手もよく投げた
春の大会で國保陽平監督は 佐々木朗希投手を投げさせず和田吟太投手に完投させた
結果大船渡高校は1回戦で敗退することになったが控え投手を育てる意図があってのことだ
和田吟太投手はこの試合は同点でもう1点も許せない緊迫した状況から投げることになった
それでも見事に無失点に抑えたし大和田健人投手も7回の2失点はエラーがなければ抑えていた
層が薄いと指摘される大船渡高校投手陣もよく踏ん張り佐々木朗希投手をしっかり休ませた
準決勝も佐々木朗希投手が1人で投げ抜くのは現実的じゃあない
両投手ともまた投げる機会があると思う
決勝戦に佐々木朗希投手を万全の状態で温存したい狙いがあるはずだ
そう考えると24日の準決勝もある程度両投手の踏ん張りが必要になる
あるいは恵みの雨が降るかどうかだ
さすがに準決勝と決勝戦を連戦にするのは酷すぎる
もう一方の準決勝は花巻東高校と黒沢尻工業高校の試合だ
花巻東の強さは言うまでもないがこの黒沢尻工業高校も屈指の強打線だ
石塚綜一郎選手や佐々木駿介選手らを中心に長打力のある選手がズラりと並ぶ打線だ
長打力が弱い大船渡高校とは打力ではかなりの差がある
どちらか勝ち上がって来ても苦しい相手だ
高校野球の日程はつくづく問題だ
準々決勝以降からどんどんタイトになり投手は連投がキツくなってしまう
もっと開催時期を早めてせめて最低でも中3日はどの試合でも開けるべきだろう
岩手県はプロ野球本拠地を試合場に使うわけじゃない
甲子園や千葉マリンがある兵庫県や千葉県とは違うんだ
もっとゆとりのある日程を組んであげてほしいもんである